ラウターブルネン ミューレン
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(Berner Oberland 5/6) |
トゥリュンメルバッハ滝
Trummelbach Gletscherwasserfalle
8/30 木 雨
30 August 2007
3泊4日で最悪の天候
朝起きると、この三日間で最悪の天候である。雨で、低い雲が山々を完全に覆い尽くしている。この日は、シルトホルン(Schilthorn 2970m)に行くつもりだったが、こんな日に行っても何にもならない。雲のかからない標高の高くない場所で、高山植物を楽しみながらトレッキングするしか仕方ないと計画を変更した。
レンタカーでラウターブルネンへ
まだ足を運んだことのない、ミューレン(Murren 1650m)方面に行くことにした。とりあえず、レンタカーでラウター・ブルネンに向かう。登山鉄道やロープウェイを乗り継いで行く方法もあるが、時刻表に拘束されるし時間もお金もかかりそう。まして、この天候で眺めも楽しめない。
グリンデルワルドからインターラーケン方面に向かい、グリンデルワルドとラウター・ブルネン方面を分岐する交差点をラウター・ブルネンに向かう。結構な距離であるが、分岐点からラウター・ブルネンは近い。ラウターブルネン Lauterbrunnen 797m
ラウター・ブルネンの両側の崖はすごい。氷河が削ったU字型の深い谷が、ラウター・ブルネンである。この西側の壁(崖)の上にミューレンがある。
雲と霧の様子をみると、両側の谷も雲で全容が把握できないほどであった。この天候だとミューレンそのものも、深い霧の中であることは容易に想像できる。駅前を通過した左曲がりのカーブの外側にガイドブックにもある有料駐車場があったので駐車した。広い駐車場にクルマは2台しか駐まっていない。駐車場の近くには大きな滝が流れていた。
徒歩で駅の方に歩いていると、ガイドブックにあるミューレンへの登山道を容易に発見できた。標識には 2Std. 30Min.と書いてある。ここを登ろうと瞬間に判断した。ただし、この意味は未だにわからない。そもそも 徒歩なら30分で登られるわけがない。60〜90分はかかるのではないか?
大きな崖の上にあるミューレンである。やはり、坂もきつかった。そして、外気温は低くとも登坂中は暑い。雨が降っているにもかかわらず、ジャンパーを脱ぎ、カッターシャツの袖をまくって歩いた。車道を歩き、あるいはトレイルを歩き、延々と坂を登った。まれに、ベンチがあるが、屋根がないので普通のズボンをはいた私は座れなかった。ベンチが設置してある場所は、おそらくビューポイントなんだろうけれど、何も見えない。ミューレン Murren へ向けてハイキング
何時終わるとも知れない上り坂を延々と登った。よく登山中でもときおり下り坂などあるが、ここでは下り坂がなかった。効率的であるがきつい。いちばん、きつかったのはどれだけ登ったのかという情報がないことである。せめて、ミューレンまで何キロという標識でもあればよいのであるが・・・。地図もこの時点ではなかった。
車道を歩くときは、ときどきクルマが通過する。クルマが一台やっと通れるような道であるので、歩行を中止して路肩に待避する場面が何度かあった。ただし、静かなのでクルマの接近は事前にわかる。
白人のペアに二回ほど追い抜かれた。彼らは健脚である。歩くのが速い。我々の1.5倍くらいのペースである。もっとも、私たちは高山植物は観賞して、大量の写真を撮りながらであるから遅い。ロープウェイ山頂 グリュッチュアルプ Grutschalp 駅
登りはじめて2時間10分ほど経って、やっとロープウェイの乗り場付近に達した。といっても、濃い霧のなか、それらしい音が聞こえるといった程度である。ここからはなだらかな車道を高山植物を楽しみながら歩くだけである。しかし、ここからもミューレンまで延々と歩いた。カッターシャツもビショビショ。カメラもビショビショ。カメラはもう駄目かも知れない。
ヴィンターエック Winteregg 駅
ヴィンターエック Winteregg 駅手前にチーズ屋と、駅舎にレストランを見つけた。まずレストランで、ビールとベジタブル・スープを飲み、パンを食べた。昼食はこれだけにした。日本人のおなかには300ccもあろうかというこちらのスープを飲んで、スープについてくるパンを食べれば十分である。外人はスープは飲み物ではなく食べ物だということを聞いたことがある。
次に、駅近くのチーズ屋さんに向かった。ここは、チーズのイベントも開催されるような店で、中ではシースルー(といってもガラスがくもってよく見えない)のチーズ工房がある。チーズを買っても日本まで持って帰られないので、1リットルの牛乳を買ってここで飲むことにした。1リットルも飲めないかとも思ったが、そんなことはなかった。濃厚でほんのり甘く、少しとろとろした牛乳で、臭さや嫌みが全くない。頼めば、プラスチック製のコップをくれるので二人で飲み干した。下痢にならないか心配したが杞憂だった。少しおなかがゴロゴロしたが・・・。この牛乳を飲んだら元気が回復した。
そのほかトフィーか?砂糖菓子のようなものを買った。すぐに形が崩れてしまう砂糖菓子のようだが、牛乳の濃厚な味と甘みがある。トレッキング中に食べると元気が出そう。 一つは我々のために、もう一つは角砂糖をかじるほどの息子の土産にするが、帰るまで形がたもてるかどうか・・・。更にミューレン Murren まで歩く
ここから、電車でミューレン Murren まで行くことも考えたが、歩くことにした。ここまで、歩いてきたので、達成感を求めて歩いた。そして、歩いた。鉄道と平行した車道であるが、それまで見なかったような高山植物やキノコがあって楽しかった。ぬれたカッターシャツだけでは寒いのでヤッケを着て歩いた。帰ってから気づいたのであるが、ランニングシャツにカッターの色が落ちてピンク色になっていた。
ミューレン Murren 到着
やがて、霧の中にミューレンのホテルの建物、続いて駅をみつけた。それなりの達成感があった。標高差は 853m である。
しばらく、ミューレンの町を歩いたが、静かというより閑散としていた。天候のせいもあるだろう。これといって、見るものはなかった。シルトホルンの展望台はこのような天気では何の意味もない。
ただ、ケーブルカーのアルメントフーベル Allmendhubel には興味があったのでそちらに向かった。少し距離はあるが、そんなに遠くはない。ケーブルカーは完全自動に近い近代的なものだった。雲しか見えないこんな日に乗るのは私たちだけかとおもったらそうではなかった。
ケーブルカーの頂上駅に高山植物のお花畑でもあるかと期待したが付近にはなかった。景色を楽しむベンチとレストランが見えただけ。こんな天候でトレイルを歩いて降りても仕方ない。
さあ、降りようと思ったらクナイプ式水浴療法設備(Kneipp-Anlage Allmendhubel)の施設があった。そういえば、NHKの「関口知宏が行く ヨーロッパ鉄道の旅 スイス〜アルプス輝く緑と湖の国」で試しているのを観たことがある。家内が試した。靴と靴下を脱いで、ズボンをまくし上げて挑戦。なかなか快調に気持ちよさそうに最初は歩いていた。大きな石。小さな石。そして、燻製を作るチップのような木くずを踏んで歩いていって、最後は水の中を歩く。ところが、この水は耐えられないくらい冷たいらしく、水の中を半分歩いたところで家内はリタイヤ。手を水につけてみたが、少し冷たいくらいだが、膝下まで両足をつけるとかなり冷たいみたい。ハイジの家?
アルメントフーベル Allmendhubel の下側の駅の斜め正面にある土産物屋のショールームに日本のTVで小さい頃よく観た宮崎駿監督の絵のハイジを描いた絵本があった。ただし、英文である。観光らしい観光ができなかったので、せめて何か面白いショッピングができないかどうか見るために店内に入った。これというものは無かったが、ユングラウ地方の1:25000のの地図 JUNGFRAU REGION を買った。これなしに、「地球の歩き方」などのガイドブックを頼りにトレイルを歩くのは少し無謀だったかも知れない。
そして、このお店の左奥にハイジの家を模した小屋が建っている。小さな小屋の軒下に、ハイジとペーターと羊の人形がいる。といっても、こちらは宮崎駿版ではない。下りは列車とロープウェイ
さてミューレンからラウター・ブルネンまで、同じ道を歩いて帰ることは全く考えなかった。また、クルマをラウター・ブルネンに駐車している都合上、別ルートでステッヒェルベルク に降りることも現実的でなかった。
何も言わずに切符を買うと、往復切符になるから"One way ticket please !" といってミューレンまで切符を買った。
列車に乗ると、よくもまあこんなに歩いたものだと思った。グリュッチュアルプ Grutschalp に列車が到着すると、連絡したロープウェイが上がってきた。濃霧の中を出発したが、少し降りるとラウター・ブルネンの町が見えてきた。そして、ラウター・ブルネンを取り囲む両側のダイナミックな崖が見えてきた。朝は、これすらハッキリ見えなかったので少し嬉しかった。
駅周辺から駐車場までラウター・ブルネンを歩いた。途中 COOP で晩御飯を買った。ビール、ハム、サラダ、ドレッシング、そしてパン。数日分のミネラルウォーター。毎晩、外食では時間もお金も体調にも無理がくるという理由もあるが、せっかくアイガーの見えるホテルのベランダで食事がしたかった。トゥリュンメルバッハ滝 Trummelbach Gletscherwasserfalle
帰ろうかとも考えたが、せっかくここまでレンタカーで来たのだから。トゥリュンメルバッハ滝に立ち寄ることにした。時間は4時50分。ガイドブックをみると5時までとあって駄目かと思ったが、よく見ると夏期は6時まで。何とかなりそうだと思った。
ラウター・ブルネンの渓谷をさらに登っていくと、数分でトゥリュンメルバッハ滝の駐車場に到着。川に沿って東側の崖の方に歩くと入り口がある。インド人のツアー客がたくさんいるなか、私たち夫婦も観光した。荒く削られたトンネルの中を斜行エレベータで登るのであるが、何か映画「レイダース」のワンシーンのような気分になった。
たしかに、普通の滝と違って洞窟のような場所に大量の水がすさまじい勢いで流れるさまは凄かった。そして、何より超低周波の重低音が鼓膜を圧迫する。音波というより数ヘルツの気圧の変化である。
心配なことは、カメラである。ここは湿度も高く、水しぶきが飛んでくる。すでに、午前中のハイキングで相当カメラが濡れていた。
そこそこ満足して、グリンデルワルドに向かって帰ることにした。COOP で買った夕食
本当は、グリンデルワルドの駅近くにあるハム屋さんが美味しそうだったのでそこで買いたかったのであるが、わざわざ買いに行く気力は残っていなかった。先ほど、ラウター・ブルネンの COOP で買ったハムを食べた。期待はしていなかったが、3種類のハム全てが美味しかった。本場なので、日本のスーパーとは置いてある物が違う。
ただ、割り箸もフォークも持っていないことに気づいたが、ハムでサラダを来るんでドレッシングをかけて何とか食べられた。ビール三種類も美味しかった。
ただし、気温がかなり下がっていたので絶景のベランダで食べることはできなかった。【グリンデルワルドGrindelwald泊】(キルヒビュール Hotel Kirchbuhl) 3泊目
※Grindelwald
はドイツ語の読み方に統一するとグリンデルヴァルトと表記すべきだが、英語読みが一般に流布しているのであえて英語読みにした。
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