帰路
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9/5 水 晴れ |
朝焼けに染まるマッターホルン(その3)
早朝、長旅に備えて風呂に入り、最後の身支度をする。ベランダから外を見るとマッターホルンはクリアに見えていて、一片の雲もなく闇の中に白く輝いていた。これは、朝焼けに染まるマッターホルンを観て撮影するチャンス。
しかし、そうなれば朝食は7時過ぎになってしまう。正午頃までにミラノ近郊のマルペンサ空港まで運転することを考えると10分でも早く出発したかったが、少し無理をすることにした。そして、本日は最後なので家内も同行させた。朝焼けのマッターホルンは是非観るべき光景である。
昨日までの撮影ポイントではなく、スネガへのケーブルカーの駅近くに行くことにした。ここは、マッターホルンの方向にマッターフィスパ川があり、高い建築物の障害も少なく、また上り坂を登るとマッターホルンの裾野がある程度まで見える。ツェルマットのホテルから歩いて行けるポイントとしては良いような気がする。
近くに寒暖計があったが、気温は−1°。Tシャツにカッターシャツの出で立ちであったが、風が吹いていなかったので何とか耐えられた。
6時35分から、ずっとマッターホルンが朝焼けに染まるのを待っていた。家内が教会の方で観たいと言ったが、何時はじまるかわからないのでこの場で観るように言った。
やがて、感動的な朝焼けに染まるマッターホルンのショーが始まった。深紅の闇に、マッターホルンの三角の山頂だけが輝くシーンを想像していた。しかし、実際にはマッターホルンの山頂に朝日が当たる頃には背景の空はかなり明るい。山頂の一角に朝日が当たる瞬間は何となく遠慮気味な赤みがかった光が当たる程度である。しかし、しばらく時間が経つと山頂を頂点とした赤く染まった三角形が増えていく美しさは何とも言えない。
十数える毎に一枚写真を撮った。事前に三脚を据えて、アングルを決めて撮影した。後で動画GIFにでもしようと、ずっと同じアングルで撮影するつもりが、我慢しきれなくなって途中でズームを望遠側にふってしまった。カメラ二台で撮影すべきだったが、ジッツォの一脚のねじ山が引っ込んで使い物にならない。残念だった。
ともかく、最後の最後の日にも朝焼けに染まるマッターホルンのショーを堪能できた。チェックアウト
四泊も同じ部屋に居ると、部屋に愛着ができてしまい最後の鍵をするとき哀愁を帯びた感慨がある。アレックスの最上階に一室しかないスイートルームであれば尚更である。素晴らしい部屋の装飾や雰囲気を写真におさめて部屋を出た。
当初の予約は、superior ルームであった。しかし、チェックインの時に「あなたは幸運にもこの部屋に泊まれます」といって、スィートルームの中でも最上のスィートルームに泊まれた。しかし、実際の会計のとき少し緊張した。もし、デラックス・スィートの料金を請求されると会計はとんでもない。
しかし、会計は superior ルームのものであった。一泊二食付きの料金は有馬温泉の老舗旅館よりも安い。やれやれ。
チェックアウト手続きを終えた時間が7時55分くらい。年配のホテルマンが、何時の汽車に乗るのか訪ねてくれたので、できれば8時10分のタッシュ行きに乗りたいと答えた。よし、何とか間に合わせようと言ってくれて、例の電動車で切符売り場まで乗せていってくれて、更に乗り場まで送ってくれる親切を下さった。ポケットに準備していた2ユーロのチップでは足りなかった気がする。でも、心温まるホテルだった。そうだからこそ、新婚旅行で連泊したこのホテルを再訪したのである。スタッフも、ジンフィズの味も、ホテルの景観も変化したものの、このもてなしのスプリットは健在だった。タッシュ Tasch の駐車場
予定通り、8:10ツェルマット出発の列車に間に合った。タッシュに到着して、駐車場に向かった。駐車料金が気になって、100フラン札を残しておいた。ところが、それが災いする。精算機は50フラン以下の紙幣しか受付ないのである。クレジットカードも使えない。しかたなく、近くの COOP で買い物をして100フラン札をくずすことにした。ドライブ中に飲む水やコーラだけ買えば良かったのであるが、あちらこちら店内を見ているとスイスのシオン産のワインや地ビールに目がとまり思わず購入してしまった。酒飲みの性である。それでも、空港での重量制限が気になってワイン1本とビール2本に抑えた。
4泊5日の駐車料金は38フラン。お手頃である。思わぬタイムロスをして、タッシュを出発したのは9時過ぎ。一路、マルペンサ空港(イタリアのミラノ)に向けて出発した。フィスプ Visp ブリーグ Brig への道
気温は3℃。。スピードメーターの横には凍結注意のマークが点灯していた。フィスプ Visp に向けての山岳道路は道も狭く、大型車などが前にいるとペースは上がらない。さらに、フィスプ Visp からブリーグ Brig までは朝の交通渋滞。といっても、アベレージは40〜50km/hくらいか。
シンプロン峠Simplon-pass
予想はしていたものの、時間がかかったのはスイスからイタリアへ抜けるシンプロン峠 Simplon-pass である。工事区間、上り坂にペースの上がらない大型車。アベレージスピードは60km/hを下回っていたと思う。3時15分発のフライトに乗るには、遅くても1時15分にチェックイン、できれば3時間前の12時15分にはチェックインしたい。恐らく、イタリアのアウトストラーダ(高速道路)に入れば120〜130km/hのペースで走れる。せめて、11時頃には峠を越えたい。
ハプニングかとハッとすることがあった。急に、前方数台の車が停まり、前方のトンネルからすさまじい煙がでている。車両火災かと心配した。通行止めにでもなると、フライトに間に合わない。せめて、片側交互通行の渋滞におさまれば、この位置なら通過に時間はかかるまい。いろいろ心配した。心配は幸い杞憂だった、対向車の大型トラックのエンジントラブルか過積載かで凄まじい煙を振りまいていただけだったのだ。国境通過
EU統合以来、西欧の国境通過にレンタカーを停めるようなことはなかったが、永世中立国のスイス国境は別のようである。ルガーノもシャモニーも、そしてこの国境も車を停止した。しかも、この国境はパスポートの提示まで求められた。そして、英語は話せるかね?どこまで行くのかね?と、昨今見たこともない気むずかしそうな国境職員の質問を受けた。マルペンサ空港までですと答えるとそのまま通過できたが、この国境だけで3カ所も停止させられる場所があった。
アウトストラーダを降りると道に迷う
ともかく、アウトストラーダ(イタリアの高速道路)に入ると快調に飛ばせた。ミラノに向かって走っていたつもりが、途中からジェノバ Genova の標識しかでなくなったが、ミラノには近づいていた。やがて、マルペンサ空港の標識が出たのでアウトストラーダを降りる。事前に、Google Map で詳細地図を印刷していたが、それでも迷った。市街地の一般道は迷いやすい。信号に停車してから、標識を見つけて右折できなかったり、CDを収納中に標識を見落として迷走したり・・・。カーナビはないのでカンで走って何とかマルペンサ空港の道に戻れた。
マルペンサ空港
マルペンサ空港にはターミナル1と2がある。記憶ではターミナル1で間違いないのであるが、あまりにも距離が離れているので少し不安になった。しかし、記憶に間違いはなかった。
レンタカーを借りるときに返却場所についての説明の用紙をもらっていたが、見る余裕がない。ともかく、他の西欧の空港と同じく、ターミナルの駐車場に向かいレンタカーの標識をみつけ、レンタカー会社のパーキングに向かう。それだけだった。
レンタカーを返却すると、職員は名前を確認して「何かトラブルはあったか?」と訊いて運転席を確認して伝票を手渡すだけだった。ボディーの損傷チェックもしない。いつもそうだが・・・。運転中、何もなかったことに感謝。
マルペンサ空港のチェックインであるが、長蛇の列に並んだり、自動チェックイン機に戸惑うこともなかった。日本人女性の職員もいて、家家内と隣どうしでなかった予約席も隣に変更して下さった。時間は出発の2時間45分前。少し、焦ったが何とか余裕を持ってチェックインできた。
Milano 15:15 - 10:00 関空 AZ 794 (マルペンサMalpensa空港)
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